2017年07月07日

熟年超人の日 stage2 51

少しゆっくりし過ぎたので、アパートに戻ると案の定、公安の一番若くて偉い人が待っていた
「警視庁公安のD田です。どちらにおでかけだったんですか」キャリアらしく、ずばっと訊いてくる
「いやぁ、ちょっと知人に会ってまして」こちらも別にやましくはないので、さらっと答える
「お知り合いとは、どんな?」私の目を正視している瞳が光度を増す
「県警の方ですよ。怪しい人じゃありませんよ」名前を訊いてきたら、教えようと心づもり
「そうですか。で、どんなお話をされたんですか」県警の誰か、とは言わずに何を話したのかと訊いてきた
「いやぁ、なんでも(や)が女房を狙ってるみたいだから、気を付けろと。そんなお話しでした」

「(や)と言うと、S会?そうなんですね。わかりました。我々も警戒します」なにか、文句を言われるのかと思っていたが、すんなりそう言われると、こいつも意外に良い奴なのか、と心が緩む
「いやぁ、私もグリーンマンさんから(や)さんに注意してもらうよう、頼もうかと思ってるんですよ」
「それは(や)の所に、Gが乗り込む、ということですか」目が鋭く光る
「ええ、まあ、そういうことになるかも知れませんが…」まずかったかな、この受答えは
「そうですか、そういうことでしたら、なるべく穏やかな交渉になるよう、ご注意頂きたい」静かな声でそれだけ言うと、くるりと踵を返して去っていく。こちらは拍子抜けだ

しかし、それだけで済む筈もなく、張込み中の車に戻るとすぐ、D田はスマホを取り出しコールする
「D田です。マルタイはGに連絡を取って(や)組織を牽制する積りのようです。Gの行動パターンの解析に重要な事象サンプルが得られると思いますので、N市の(暴)S会事務所の監視をお願いします。はい、行動記録班も貼り付けておけるよう、手配をお願いします」…というやり取りが、部屋に戻った私の超人耳に筒抜けなのは言うまでもない
これでは、Gになって出張ったときにいろいろ制限がつくなぁと、少々気重になる
公安さんに邪魔されないようにするなら、即行動だが、あくまで私とGの関係は依頼者と請負者の関係にしておきたいので、S会にGとして殴り込んだ(ちょっと過激か?)として、皆殺しにはできない(ここは注意!世間が許容できる範囲の暴れ方が肝心)のだから、後々回復したS会幹部が、情報漏れの犯人捜しをした際、納得できる設定をしておきたい、と頭がくるくる回転する
そして、そうだこれでいこう、というプランが閃いた

早速K刑事に電話して、S会の件の情報源の人物に、妻についての調査を大至急始めるよう連絡してもらう(その家族調査の動きをGのネット網が検知して動いたことにしよう!)
その際、K刑事からS会の動きを聞いたことを公安に話したこと、グリーンマンさんに乗り込んでもらうよう頼むという話をしたことも伝えておこう(仮にその会話が盗聴されてたって、問題ないだろう)
ならば、善は急げとK刑事に電話回線を繋ぐ
情報源を守るという私の提案は、好意的に理解されたが、公安に話してしまったことについては、相当動揺したようだったが、最後はしょうがないな、と了解してくれた
…となると、グリーンマンとしてS会に乗り込むのは、今夜ということになる

あまり遅くては、いくら(や)と言っても、見張り番が残っているくらいで、事務所を急襲しても成果がないだろう。かと言って、明るいうちに行動するのもまずかろう
せっかく超人になっても、私の性格が差し障ってどうもスムーズに動けないなぁ、とややネガティブになっていると、K刑事から連絡が入り、情報源の人物にこちらの意向が伝わり、今頃K市役所に向かっているだろうから、5時までに住民基本台帳の閲覧を請求しているはずだ、ということだった
それなら、押しかけるのは6時過ぎ頃とするか
posted by ミスターK at 19:16| Comment(0) | TrackBack(0) | SF小説