2017年07月11日

熟年超人の日 stage2 52

そう決まると、なんだかウキウキしている自分が居ることに気付いた
どうも超人になってから、体調も気分も若返っているようで、今夜のS会事務所への押しかけ訪問が、こんなに心浮き立つものになるなんて、我ながらびっくりである
一応作戦は立てないといけないかな、と思ったが、結局出たとこ勝負でいくことにした
とにかく、相手に死人を出したらマズイことだけは肝に銘じておくこと。それだけだ

意識すると時の歩みがのろくなるのは、超人とても同じ。ふと思いついたので、Gマップでアパートのある町内をノートパソコンの画面に出して、それを目で追いながら周囲偵察を試みてみる
最初は、脳内に浮かぶ周囲偵察状況と、画面のリンクが難しかったが、やがて慣れて来るとそれがすこぶる便利なものだと分かる
これまで漠然とあっち側、こっち側と認識していた“動くもの”の位置がはっきり掴め、お馴染みの公安さんの車や、向かいの住宅、アパートの前の通りを過ぎていく車の動きが、全て同一画面で見える(ちなみに今まではレーダーのような見え方だった)
ここの出て行き方だが、今回はドアからでなく窓から出て行くようにしよう(窓のすぐ下は小さな梨畑になっていて、その向こうの民家の住民の目は要注意だが、透明スーツでなんとかできるだろう)

ことのついでにN市駅西地区をGマップで見てみる。K刑事の教えてくれたマンションの位置も確認できる
これで準備万端、後はテレビでも観ていようか、とリモコンを操作すると、ちょうど夕方ニュースが始まったところだ。K刑事の言っていた人物も妻のことを調べ終えた頃だろう
それにしても、まだ時間がある。別に待ち合わせている訳でもないのだから、少し早目に出ても良いはずだが、なにせ外が明るい。今の時期の日の入りは6時半くらいだろう。出かけるなら、その頃がいい
外で張り込んでいる連中には心配かけないよう、ドア側の照明は点けておこう
それにしても、超人としての出動が、こんなに不便だとどうしようもない。T電から金が振り込まれたら、どこかもう少し周囲に人目がない住居を借りたいものだ
その場所はどこがいいだろう。妻の意見も聞かないといけないな。息子たち家族も守るとなると、A温泉の近くの別荘なんてのも良いなぁ…などと空想を膨らませているうちに、6時を過ぎた

そろそろだな、と梨畑側の窓のカーテンを少し開いて、梨畑とその向こうの民家を超人眼で偵察する
中学生くらいの男の子が居間にいて、テレビゲームをしている(音も聞こえる)。その隣の家は留守らしく、カーテンが引かれている。さらにその隣の家は、主婦が夕食の支度をしているような動きが垣間見える
これなら大丈夫と、スーパーマンスーツを装着し、窓を開けて外に浮き、ちゃんと窓を閉めてから一気に上空目指して飛び立つ(スーツは見えない状態です、もちろん)
上空に周囲偵察を展開し、高度3000mまで5秒で達してから再び高度500m迄ゆっくり降下、スーツは通常の緑色に戻して(張込み班よ気付け!)、N市方面を目指して飛び去るという芸の細かい(AとGは別人という示唆です)出撃風景とあいなりました

まず最初は、N駅を目指して高度5000mを飛ぶ。正面に沈む太陽が大分赤くなっている
JR東海道線沿いに飛べばよいので、この飛行は楽なものだが、官民合わせて飛行場が幾つかあるので、航空機とニアミスしないよう、そこだけは注意して飛ぶ
そして、灯りの瞬き始めたN市中心部が前方に現れ、私は速度を300qくらいにまで落として、S会事務所が入っている6階建てマンションを上空から発見、例によって屋上が無人なのを確認した後、そっと着陸する
その後は簡単で、屋上に必ずあるメンテナンス用出口を見つけ、施錠をものともせず鉄扉を引き開け、屋内に侵入する
確か、K刑事が教えてくれたS会事務所のある階は、3階だったな
posted by ミスターK at 23:25| Comment(0) | TrackBack(0) | SF小説