2017年09月25日

熟年超人の日 stage3 06

「なにを恐れると言うんだね」Y之原が、内調のM原に苛立ったように問う
「Gの力です。放射線をものともせず、1万トンを超えるメガフロートを不安定な端の方を持って、空中を飛びまわれる。それこそ彼らが子供の時分に見ていた、いや今でもハリウッド製のスペクタル映画でお馴染みの、無敵のスーパーマンが現れたんですから。そして、早晩彼らは知ることになります。Aという日本人の依頼で、Gがあの力を日本の為、というよりT電のために駆使することを」M原の言葉に、全員が言葉を失う

「ならばこそ、我々の提案をご検討頂きたいのです」しばしの沈黙をD田が破って、発言を続ける
「A国海外情報部がやってくれば、Aの個人データのみならず、彼の家族一人一人の詳細データまで把握することは必定です。さすれば、Aの家族への気持ちも利用されてしまうことも充分考えられます。むろん、我が国がアノ国に面と向かって抗えないことは承知の上で、せめてA氏が我が国のために、忌憚なくGに依頼できる環境を整えるべきではないかと、提言する次第です」
「そのために、国家安全保障会議の開催を図る訳ですか」E田が呟くように言う

「その前に、すみません。自分はあのイチエフ会議に同席をして、Gの力を垣間見た者ですが…」思い切ったように、列席中最下位職位の公安外事二課N目来警部補が椅子から立ち上がり、緊張した面持ちで発言する
「Gの、あの力が宇宙人の力だとすれば、そのことの方が、おっしゃられるような海外の反応より、重要ではないかと考えます。自分は目の前であの力を見ましたが、あんなことができる宇宙人が十人もいれば、恐らくどんな国の軍隊でも歯が立たないだろうと思いました。自分は、むしろ世界に呼びかけて、あの宇宙人との平和交渉を、日本が率先して行うべきなのではないかと考えた次第です」誰にも話していなかった自分の意見をこの場で発表したことに、N目来の頬は紅潮し、起立している両の膝は小刻みに震えている

「失礼します。内調のY岡と申しますが、私もあの日イチエフの会議に参加しておりました。私の感想は、N目来さんのものとは少し異なっておりますので、Gの印象の公平性維持のためにも、一言申し添えさせて頂きます」そこまで一気に話し、やっと着席したN目来の方に一旦視線を送ってから、話を繋ぐ
「私が注目したのは、Gの物腰と話し方であります。時折り差し挟まれる、スーパーマンらしからぬ腰の低い物言いには、同じ日本人ではないかと思えるような、なんとも言えない安心感がありました」そこで、N目来の同意を求めるような視線を送る。しかし、N目来は目を伏せて反応を見せていない
「実際は、公安2課のD田警視の報告書にあるような、キーマンA氏がGの苦境を救った折に、A氏から地球の情報を得て、日本人的な話し方を刷り込まれ、今回の私の印象が得られたのかも知れませんが、いずれにせよ、我が国が一番Gに近い存在であり、あわよくば気脈を通じられるような状況にあるのかも知れません。少なくとも、そこが判明するまで、極力Gや、A氏との友好関係を醸成すべきかと思います」

「しかし、そうなるとA国にはどう説明するのかね。それでなくても、痛い腹を探られそうなのに、それじゃぁ、本当に対立してしまいそうじゃないか」E田が心配性な性格を露呈する
「今までの話の流れでは、そうなってしまうかも知れませんね」それまで口を挟まなかったO原参事官が、ぽつりと発言する
「その辺りは、対外交部門とはこちらで対応しますので、公安さんには、先ほど2課のD田警視が仰られたように、唯一のキーマンであるAと、その家族を秘密裏に警護して頂き、A国海外情報部員来日の際は、公安外事の方に対応して頂ければ、と考えております」内調1課のM原参事官が、話をまとめにかかる

「内閣官房の方では、もう結論が出ているようですな。ウチもやる気になっている者がいるようですし、基本、その線で行くようになるのでしょうね。この先は、各部局の知恵を集めないといけませんね」Y之原が会議を締めくくるように発言し、会議の先はAとAの家族の保護、対A国および派生してくる諸外国への対応方法の検討に移ることになった
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2017年09月18日

熟年超人の日 stage3 05

「部長のおっしゃる通りです。精神感応と和訳されているテレパシーは、念ずることで意思の交換ができるという超能力の一種だと、SF小説などに設定されております」
「Aは、…いやA氏はそれでGと連絡を取っているということですか」外事二課のJ道が念押しする
「と、考えるのが理に叶っているような進展に、現在なっている次第です」2課長のB場が補足する
「となると、極めて間接的ではありますが、我が国としては、A氏経由でならGの協力を仰げる状況にあると、理解してよろしいのですね」J道が、同席している全員の顔を見廻しながら、結論をえようとする
「それで、そのAさんは、我々に協力的な人物なのかね」Y之原が落ち着いた声で、独り言のように場に言葉を投げかける
「実は、A国が既にこの件に関心を示しております。近々にあちらの原発事故被害調査の名目で、イチエフを訪問すると、内調より情報を頂きました。又、C国も察知しているようで、現地調査を始めているようです」
内調以外の参会者に、緊張が走る

「C国はともかく、A国については機密共有の観点から、我が国に情報開示を求めて来るものと推察できるので、早急に政府の対応方針を策定して、ことに当らねばならないと思います」内調のM原が、きっぱりとした口調でこの会議の最大の問題を投げかける
「早朝、ネット上にGのイチエフ動画があがったのを感知して、即対応したのですが、およそ5分ほど曝されたおかげで、あちらも気付いたようです。また、C国の連絡員があそこには常駐していますから、そのルートでも漏れたようです」内調情報集約センターのS野所長が補足する
「これは早急に、安全保障会議開催の具申を、考えないといけませんな」O原参事官が、傍らのY之原をちらっと見ながら発言する
「しかし、Gは宇宙人なんでしょう。我が国でどうのこうの指図できる訳でもないし…」ノンキャリのE間参事官が追いかけるように発言
「それは、アチラには通じないでしょう。当然なんらかの方法で、イチエフでのデモンストレーションを依頼、若しくは事前に協議していたと踏んでいるでしょう」M原が硬い口調で、E間の発言を矯正した

「内調の方は、NSC開催を具申するの?」Y之原が落ち着いた声で、M原に問う
「はい、W田副長官はもうその気になられております」
「あれだけのパワーを外国に見せたら、知らないでは通らんよなぁ」無意識にあごに手をやりながら、Y之原がぼやく
「そこで、今回の我々公安2課からのご提案、ということになります」B場が、隣りのD田にうなづいてゴーサインを出す
「当該人物のA氏とは、A県警捜査四課のK刑事が密接な関係を持っていることが判明しています。N市におけるマル暴事務所がA氏の家族を拉致して、なんらかの脅迫的交渉を企てていることを察知したK刑事が、Aに教え、結果A氏はGにS会掃討の依頼をしています」

「すると、Aさん経由であのグリーンマンに、なんでも依頼できると、そうおっしゃるんですね」S野所長が門外漢を装って、ストレートに質問する
「いや、もちろんそうはいかないでしょうが、どうやらA氏はT電と金銭授受関係を持っているようなのです。つまり、お金で彼のコネクションを買えそう、ということです」
「そんな個人的な要請で、あのスーパーマン、いやグリーンマンが動くのですか?」
「それはまだよくわかりませんが、イチエフについては、我々の想像しうるスーパーマン的な行動をとっているGが、なんといってもA氏の個人的な問題解決に助力し、あまつさえ相手のマル暴幹部にAの家族に手を出すな、と言っていたという証言も取れています」D田が、室内の全員を意識した声量で断言する

「そうなると、ますます国家としての判断が必要になりますな」M原が重い口調で皆に訴える
「かの国は、自国以外にスーパーマン的な存在が現れたことにショックを受けています。というより、あのイチエフの動画の真贋をかなり丁寧に行い、その顕在能力とまだ見えていない力を畏怖していると言っていいでしょう」内調以外の参加者たちがざわめく

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2017年09月12日

熟年超人の日 stage3 04

午後の会議は、警視庁ビル15階の公安部会議室で開かれた
公安部長のY之原、その両脇に公安参事官のO原、E間が並び、2課から課長のB場とD田がその右側のテーブルに、相対して外事第二課のJ道とNが左側のテーブルに着き、ロの字にセッテイングされている会議テーブルの残った一辺には、内閣官房から情報調査室1課のM原参事官とイチエフ会議に出席したY岡調査官、情報集約センターのS野所長が並んでいる

「各位ご多忙中のところご参集頂き、感謝申し上げます。お手元のレジュメにのっとりまして、会議を進行させて頂きます」公安2課長のB場が明瞭な発声で、開会を告げる
「パート1、Gの行動性向と破壊力行使のインタラクティブ傾向についての考察」D田がアナウンスを引き継いで話し始め、同時に自動ブラインドが作動して部屋がゆっくり暗くなる。そのタイミングで、プロジェクター画面が点き、イチエフでグリーンマンがクレーン車を地面にそっと下ろす動画、メガフロートを海面に丁寧に戻す画面、原子炉棟からデブリの入った回収容器とガイガー管をT電機の立会いスタッフに渡す場面に変わり、次に画質が変わると、S会事務所のドアが引き開けられ、若い男(組員)が転がり出る場面、続いてホンコン映画のように、人が部屋から飛び出して廊下の壁面に激突する場面、さらに画質が変わり相当破壊された室内の様子、次に部屋の中に放り出されている窓枠ごと引き抜かれたガラス窓と鑑識官が掌に載せているひしゃげた弾丸の写真、そして次々に続いた画面が突然終わると、ブラインドが開いて室内は元の明るさを取り戻す

「イチエフでの件は、すでにご承知とは存じましたが、あえてご覧頂きました。その後のビデオは、昨夜N市にある暴力団事務所をGが襲撃した際の、廊下に設置されていたモニターカメラの映像と、事件後現場に入った県警鑑識の状況写真です。注目して頂きたいのが、イチエフであれほどの強大な力を見せていたGが、マンションの一室の破壊を最小限に抑えて行動している、ようにしか見えないところです」…D田の解説に、参会者達の押し殺したような同意のうめき声
「この細やかな、気遣いとも思えるGの所業がなにを示しているかの推察レポートにつきましては、お手元のレジュメ[推察1]をご参照ください。続いて次章の、パート1に連動して考察したパート2をご覧ください。ここで、GとのリエイゾンA氏の存在を確認しておきたいと思います」レジュメをめくる音

「A氏は、略歴を記載してあります通り、ごく平凡な日本人であります。出身地、家族構成、身長、体重、既往症、性癖等も現時点で判明していることは全て記載されていますが、別項【不明・要調査】にある[@…バー夜露における暴力事件(店内破壊、店従業員負傷、料金一部未払い〜いずれも被害届不受理)の受動的加害者であること A…@に連動して起きたマル暴S会との抗争事件に出現した怪人(全身タイツ+フルフェイスマスク)との関係性が不明 BA氏の本人履歴に記録されていない、@事案における格闘術(合気道?)の習得時期、習得場所]が不明、以上が現時点の不審要素です。
続きまして、次項【Gとの連絡役、或いは指示役としてのA】に記載した、@T電F原発本部長H氏とのイチエフ事故収束作業へのGの介入を提案→4月16日に実行(詳細別紙)及び、A当・公安2課第二公安捜査統括D田にS会へのGの介入を示唆していること。この会話につきましては、報告書Cをご参照ください」
「すると、A氏の依頼でGが当該暴力団事務所を制圧した、ということでよろしいですか」外事第二課のJ道が念を押す

「はい。その後の顛末は、報告書Dにある通りです。次に、A氏がGとのコネクションを持つに至った経緯を報告書Bにまとめてあります。前述の、本官にGにマル暴事務所襲撃を依頼したとの会話が19日14時過ぎ、このGとの関係の供述は、前日18日午後であります。この間のA氏のアリバイは、ほぼ完璧で、我々の監視下にありました。よって、Gとの連絡をテレパシーのようなもので行っていることは、事実と推定できるでしょう」
「テレパシーって、あのSF小説に出て来るあれかね」Y之原が興味深そうに呟く
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2017年09月07日

熟年超人の日 stage3 03

[ 20日(水)の10:35am 千代田区霞が関 ]
私が司法書士の事務所で、会社登記のなにやらかにやらの説明を受けている頃、公安2課第二公安捜査のD田警視は朝一の新幹線で本庁に戻り、公安2課長のB場と午後からの『G対応会議』の事前打ち合わせをしていた
「それで、GがAという男の意を受けて行動しているのは事実なんだね」
国内極左対応の1課や右翼の動向を取り締まる3課に比べると、労働争議や革マルを対象にしている2課は、昨今の情勢を反映してやや沈滞気味になっていて、1課と3課の課長が警視正であるのに比べ、2課長は警視が務めていてそろそろ36の声を聞くB場は、次を目指して効を欲していて、今回のT電G案件が漏れ聞こえると、管轄課が明確でないことと、F県原発敷地内における収束作業員を巻き込んだ案件であると主張して、そもそも乗り気でなかった1課長、3課長の了承も取り付け、2課で対応する道を選んでいた
「はい、S会という末端暴力組織に対してGが襲来し、その際はっきりと、Aの意向を受けて当該組織の排除を宣言した後に破壊しております」
29才を目前にして、警視庁最若年警視に昇進したばかりのD田は、T大首席卒で警視庁に入庁したエリートキャリアとして、2課長B場の目論見が叶うことが、自身の2課長昇進への道を開き、Gというこれまで日本はおろか、世界のいずれの国家も遭遇したことのない超人という存在が、国家の未来に及ぼす可能性を考えたとき、心躍る感慨を禁じ得なかった

「すると、我々との交渉相手は」
「そうです。Aという人物と考えて対処しております」
「S会損壊と、構成員の殺傷への法的対応については、どう考えている」
「はい、幸い殺人事件にはなっておらず、全員警察病院に収容しております。重症者は4名ですが、いずれも骨折で命に別状はありませんし、彼らも被害届けは出さないようなので、県警共々立件しないことで了解を得ています」…その負傷者のうち1名は病院から逃走していることは、この時点ではまだ伏せておこう、と思いながら返答した
「後で現場に戻った組長と、もう1名も確保しているそうだな」
「はい、県警四課の事情聴取も隣室で立ち合いましたが、組長の方はAとの確執をほとんど把握しておらず、幹部のTという者がAまたはAの家族を拉致する計画を練っていたそうで、今回の件は掌握していなかったようです」

「なるほど、そのTとやらが病院から逃走した訳か」2課長の声音が尖る
「はっ、そのような報告がありましたので、県警担当部署には早期の確保を厳命したところです」
互いの視線が一瞬交差したが、さりげなくその場の空気を互いの腹に収め、会話を続ける
「それで、午後の会議は外事の方も力が入っているらしく、アジア担当の二課長さんとイチエフに行って来た主任さんが揃って出るらしい。それに内調の方もイチエフでの騒動をアノ国が嗅ぎつけたようだと、O原参事官が神経質になっていてなぁ。君の報告が与えるインパクトが私も気になってるんだよ」D田が朝一で届けておいた『G案件1 *N市S会事務所壊滅事件の背景』と題した報告書を弄びながら、ことさら穏やかな笑みを湛えてそう言うと、これで打ち合わせは終わりだというように、別の書類を手にしながら右手を上げ、D田に退出を促した

D田は自席に戻るとメールチェックした。そして、N市に残してきた部下の誰からも受信がないことを確認した上で、とある人物に電話を入れる
「D田です、そっちの方はどんな具合です?」
「やあ、N市から帰ったばかりなんだろ、お疲れさん。こっちはアノ国からネットに流れたGの件で、早速問い合わせが来ていて、大騒ぎだよ」電話の相手は、T大の1年先輩の内調参事官のM原だった
「やはり、そうですか…。アノ国じゃなくたって、日本にあんなアメコミヒーローが出たのが許せない!ってとこでしょうね」
「まあ、そういうことだな。明日にも情報調査員と、核エネルギー研究員がやって来るらしいんだ。まだ、こっちの方針も決まってないのに、対応部署は大わらわだよ」少しだけ面白がっているような声音に、あの人らしいなとD田は思う
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2017年09月05日

熟年超人の日 stage3 02

方針が固まったところで、早速インターネットで『会社設立』をググってみる
“簡単な”とか、“お金をかけない”とか、いっぱい出ているが、要はT電が払い込むのに“らしい”名称の株式会社に作れば良いのだ。それなりな名称と、定款を考えておいて、資本金は1万円とすれば御の字らしい。後は、ネットで調べた近くの司法書士さんのところに頼みに行けば良い
そうと決まればことは簡単、取り敢えずはH本部長から頂いた百万円があるから、司法書士の支払い登記料も含めて支払さえすれば、手続きは簡単なようだ
どうせ法人名義の振込口座が必要なだけなんだから、会社としての売り上げや仕入れ、従業員の選考なんて考える必要もない
その会社の名前は2〜3思いついているのだが、ここは妻に華を持たせて、命名してもらうことにしよう

そんな理由で、久しぶりにこちらから妻に電話することにした
珍しく私から電話をかけたことで、機嫌を良くしている妻に、これまでのけいい経緯をあらまし説明する、…積りだったのだが、T電のお偉いさんに会えて、話は順調に進んでるから、と言いかけたところで妻に話の主導権を取られる
「そうなの、良かったじゃない。お仕事の方は上手くやってくれればいいわ。こっちはそれどころじゃなかったんだから」その口調に、またなにかあったのかと、いつもどっきりさせられる私(ま、そんなに大した問題じゃないことが多いのだが…)
「なにかあったの?」
「赤ちゃんのお世話で、大変なのよ。T彦のときはわたしも若かったんだって、思い知ったわよ」なるほど、これはしばらく妻の言い分を聴いて上げねばならぬようだと、覚悟を決めて私は心を籠めて相槌を打つ

「…それで、なんだっけパパのお話しは。あっそうか、会社を作るとかのお話しだったわね」
「そうだよ、それでその会社の名前だけど、いくつか考えたんだけど、ひとつはフューチャーパワー、後はトゥモロープランニングとパブリッシャーライツの3つなんだけど、ママはどれがいいと思う?」
「なんだか、ややこしい名前ばかりねぇ。もっと、短くっていいんじゃない?それと、あなたが言ってたグリーンなんとかとか、スーパーなんとかを入れといた方がいいんじゃないの」なるほど…
「じゃあ、グリーンアクティブなんて、どうかな」
「もっと短くして、スーパーグリーンとかでいいんじゃない。それより、変な借金なんて作らないでね。そんなことになるんなら、なにもしないで居てくれる方がいいから」それはそうだろうな
「わかった、お金の心配はないようにするよ。会社の名前は、ママのをヒントにして、株式会社スーパーグリーンリィにする。意味は、超、緑に染めちゃう、みたいな名前なんだけど」
「それでいいと思うわ」やれやれ、会社の名はこれで決まった、お次は秘密基地の話だ

「あとT電さんとか、これからグリーンマンになっての仕事が多くなると思うんだけど、そうなると僕が変身するのをご近所さんに見せる訳にもいかないと思うんだ。それで、T電さんからまとまったお金が入ったら、どこかの山の別荘でも買って、そこから出かけようかと考えてるんだけど」
「そうねぇ、パパがスーパーマンだって皆に知られたら、T彦んとこにも迷惑かけそうだし、わたしだってお買物に行ったり、美容室に行ってじろじろ見られるのはいやだしねぇ…。仕方ないわね、別荘持てるならそれもいいかもね」おお、大分前向きに考えてくれたぞ
「これって、もう断れないんでしょ。ならいいけど、まずどんな別荘にするのか、それが買えるくらい儲けられるのか見せてもらって、それから決めましょう。ごめん、T哉くんが起きたみたいだから、電話切るわね」そこまでで通話は終了。まあ、大体のところは話せたからいいか

ここまでの大筋を3枚のレポートにまとめて、比較的近くの司法書士に電話して、ではどうぞ、となったJ司法書士事務所に出かける
例によって、公安のお伴の方々には事務所の外でお待ち頂き、司法書士の先生のアドバイスで“株式会社グリーンリィ”として、登記手続きを始めることになった(決定となったら、社判、ゴム印、名刺なども用意せねば。会社住所は、当面アパートで良しということになった)

私が会社のことで動き出す前の、日付が変わった頃、S会若頭のTは公安のM宮とT垣が着く前に、警察病院の四人部屋から抜け出すことに成功していて、超人Gに面と向かって対峙した人間の、貴重な証言を得る機会は失われていた
公安のD田は、T垣からの報告を苦々しく聞きながら、M宮とT垣の二人がその前に行って来たS会事務所内部の破壊状況の報告と、県警鑑識の集めてきた証拠物件の残像が、頭のどこかに引っかかっているのを感じていた
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