2017年07月04日

熟年超人の日 stage2 50

電話の声は、あのK刑事だった
「もしもし、県警四課のKです。Aさんですね。ちょっとお耳に入れたいことがあるんで。電話ではちょっと分かりにくいんで、1時間後に例のマンガ喫茶で会えませんか?」
「はい、分かりました。あの喫茶店ですね。了解です」なんだろうと思いながらも、先日会って話をしてみて、嫌なタイプの人間ではないと思っていたので、軽い調子で返事をした
これで、会いに出かけると、またあの公安の人たちもついて来るんだろうな。いや、それではKさんが困るだろうから、こっそり行くべきか

いい機会だから、例のスーツの隠密性を試してみたい気もしたが、まだ陽もある時間帯なので、あのスーツを試すにはちょっと危険だろうな
だったらどうする?いっそ、堂々と出かけてみるか。そうだそうしよう
別にKさんが困ると言っても、どうにかなる訳でもないだろう。面倒臭いこともあるし、そう決めた
ドアを開け、外に出るとき向かいの住宅に向かって、ちょっと手を振ってみる
レンズを覗いている男が、明らかにぎょっとして凍り付くのが見える(してみると、昨日の三人組との連携はそんなによくないのかも知れない。いや、あそこで見張ってることは言ってなかった。まずかったか)
透視だけでなく、望遠機能にも優れている超人眼は、あのカメラにも負けていないのだ

すたすた歩いていくと、路上駐車していた黒い車がゆっくり後をついてくる
別に構わないが、傍から見ると変だろうから、さっと横道に入る
バタンと音がしたから、誰か慌てて降りたんだろうが、構わずやや早目に歩いて、コンビニの裏手に出る
そのまま素通りして、駅方面にある例のネットカフェに直進する
店内に入り、ブースを案内してもらって席に落ち着いた頃、ドアが開く音がして誰か入って来た
Kさんか、公安さんか、どっちだろうと思う間もなく、店員に案内されてK刑事がブースに入って来た
「お待たせしました」軽く微笑んでいるので、こちらも愛想よく笑う
「公安の人ももうすぐ来ますよ、きっと」軽い気持ちでそう言うと、Kの表情が真顔になる
「そうですか、なら手短かにお伝えしときます。Aさんのことを、例のぼったくりバーの実質経営者の(や)のS会が狙ってるって、この前お話ししましたが、どうやらAさんにハムの連中がくっついてるんで、奥さんに的を変えたようです」

ええっ!っと、私が驚くと、重ねてKが告げる
「こっちとしては、Aさんがグリーンマンに頼んで北の方を片付けてもらう作戦に、支障が起きないようにしたいんで、極力S会を抑えますが、タイミングが悪いと、奥さんを人質に捕られたりしたら厄介なので、直接お耳にお入れする訳です」
「それはどうも、ありがとうございました。わかりました。普通にやってると、どんなことになるかも知れないんで、私の方もGに頼んで、そのS会とやらを排除してもらいます」つい、超人としてこんな分かり易い悪だったら、ちょちょいのちょいと片付けられそうな気がして、気楽にそう告げると、K刑事は愕然とした表情になっている
「排除、ってAさん、どうされるお積りなんですか」
「あ、いや、GからそのS会さんに、ちょっときつめの警告をしてもらおうと思っただけですよ」
「大丈夫ですか、その、S会をスーパーマンみたいにぶち壊してしまうとか、そんなことはないんですよね」

そう言われても、事の成り行きによってはちょっと暴れてみようかな、と思ってもいたので言葉に窮してしまう私だった
「まあ、できるだけ穏やかに、警告してもらうよう、注意して依頼しますので、S会の場所を教えてもらえませんか」そう告げると、Kはもう用意してきたとみえて、折りたたんだメモを私に手渡す
そのとき、店内に二人の男が飛び込んで来た
係員を掴まえて、どうやら私らしい人物が入って来たか確かめている
当然、このブースに案内して来るものと思って身構えたが、どうもそんな人物はいません、みたいな返事をしていて、Kの顔を見ると割と落ち着いている。なるほど、この店のスタッフがちょっと親近感を示していた訳がわかった

「とにかく、大事にならないよう気を付けてGに頼みますんで…」声を潜めて、そう言うと
「わかりました。そのあたり、できるだけフォローしますが、なるべく抑えてお願いします」と更に小声でKが片手で拝む仕草で答え、公安の二人が出て行ったのを確認して、私のいるブースを出て、ここの店長らしき人物にうなづいて、別のブースに滑り込んで姿を消す
私の方も、すぐ店外に出ればあの二人に出くわしそうなので、今しばらくマンガなど見ながら、この先の作戦を練ることにする
Kがくれたメモ用紙には、S会の入っているマンションの住所と部屋番号と共に、通常3〜6名ほどがいるであろうこと、恐らく武器もそれなりに用意されているであろうと記されている
まあ、どうせ以前やりあったゲリラ連中に比べれば、可愛いもんだろう
posted by ミスターK at 16:32| Comment(0) | TrackBack(0) | SF小説
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