2019年03月11日

熟年超人の日 stage4 06

破裂した水銀灯は計6個、監視カメラの排除には使えないかもしれないが、なにかの役に立つかもしれない
それにしても、両の掌に感じた衝撃は、超人になって初めてのもので、今後この技を使う時には、その点を留意しておかないといかんなぁ、と心に留め置いた私であった
まあ、テストはこれくらいにしてそろそろ出かけないと。腕時計を見る(影スーツも透視可)と、いつしか10時過ぎになっている

それからは、N市方向に向かって、飛び上がってはグライダー的な飛行を繰り返しながらの進行。そんな飛行では、当然スピードが出ない(時速100q程度か)
ただし、ぐんぐん飛ぶ感じのGスーツに比べると、すぃ〜っと滑空するこちらは、なかなかいい気分で飛行できる。その間、結構暇なのでGスーツと影スーツの違いを、つらつら考えを巡らせながらのお気楽飛行

なにせ、宇宙に飛び出せるし、マッハ4でも5でもスピードアップが可能なGスーツに比べると、この影スーツのアナログ感は半端ない。まるで、ジェット戦闘機と複葉の戦闘機だ。同じ宇宙人が用意してくれたとは、思えないような性能の差である。きっと、耐熱性や耐衝撃性も劣っているに違いない
二つのスーツのこれほどの違いは、一体なんのためなのだろう(あれほど合理的な考え方をするジュブブや、その上部組織が、ただの無駄をするとは思えない)いずれ、その用途の違いに思い当たることがあるのかも

Gスーツで飛行する場合は、地を蹴って飛び上がった次の瞬間には、安定した飛行が可能になる。対して、影スーツがムササビ的な滑空以外、そのまま強引に超人力で飛行すると、軌道が安定しないのは、慣れとかではなくスーツの根本的特性によるものだろう

超人になった今では、スーツなしでも宙に浮けるし、そこそこの早さで飛ぶこともできるのだが、初期の頃はともかく、この頃はスーツなしはなにか心許なく、まして宇宙になど行く気にはならない
というより、スーツなしではいかに超人と言えども、宇宙空間に飛び出せないだろう
…などと考えているうちに、下方の状況は灯りの少ない住宅地から、工場や倉庫の暗い影が並ぶT市の工業地帯に変わっている(遠くにひときわ明るく輝いているのがN市の中心部だ)

監視カメラの件にしても、P連合を潰しに行く積極的な理由の有無にしても、グリーンマンと私の関係に影忍者までからませたら、この先の私と私の家族の一般人の生活に、支障を及ぼすであろうことも、全て解決せぬまま、こうして無軌道に行動している私
定年を迎えた60才になる自分が、ブレーキをかけることができない現状に、なかばあきれ、そしてそれ以上に興奮している私もいるのも事実だ(超人化による若返り現象なのか!)

そんなことを考えながらも、目指すP連合のアジトがあるという灯りの無い2階建ての倉庫があったので、その屋根にふわっと降りる
倉庫の屋根と言えば、雨風だけ防げれば良いようなレベルの簡易な強度だが、影スーツは重力コントロールが得意らしく、みしっともいわない

耳を澄ませると、中にいる人物が観ているらしきテレビドラマの声が聴こえる
他には、いびきをかいて寝ている者が二人、麻雀らしきじゃらじゃらさせている音(つまり四人か)がする
監視カメラは、倉庫屋根の四隅と、1階のメイン入口と裏口、鉄製の非常階段で上がれる2階入り口の上、鉄条網で囲われている柵の四隅、そして隣接している別の倉庫の屋根から、この倉庫を監視・録画していると思われる1台。合計12台と、大盤振る舞いの設置数だ(それだけ警戒していないと、具合の悪いなにかがあるのだろう)
posted by ミスターK at 18:38| Comment(0) | TrackBack(0) | SF小説
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