2019年07月03日

熟年超人の日 stage4 12

連中が手に持っているのは、ライフルではなさそうだ。そんなに大きくはない
しかし、ピストルより大きめなサイズに見える。そうだ、ハリウッド映画でよく出て来る小型の機関銃、ウジーとかいうやつか
となると機関銃並みに、ばりばり乱射して来る可能性がある。どのみち、あんな弾には当たらない自信がある(富士の老人の屋敷で狙撃された銃に比べれば、なんてことはない)が、流れ弾がここにいる連中に当たれば、命に係わる場合もあるだろう
…ということで、こちらから打って出てやることにした

普通の人間は、どうしても入口からの侵入になることを避けられない(当たり前だ)
従って、アクション映画でお馴染みの、ドアに誰かが貼り付いて中の様子を窺い、しかる後にドアを蹴破るかして、室内になだれ込むあのシーンになる
ところがあいにく、こっちは透視眼のお蔭で、壁の向こう側の廊下に展開している連中の様子は、丸見えである。ただ、めんどうなのは、外階段に待機して、中に飛び込む機会を窺っている奴の方だ
まずいことに扉は外に向かって開いた状態のままなので、廊下組をやっつけている間に、挟撃される可能性がある

そんなことを言っている間にも、廊下の奴らはじわじわ接近中だし、さっきノシた連中だってもぞもぞし始めている。…となれば、くよくよ考えるのはやめて、まずは先手必勝、廊下に面している壁をぶち抜いて、一気に廊下を制圧することに決めた
安普請の倉庫のことだから、壁はどうせ石膏ボードみたいなものだろう。まさか防弾構造なんてありえない
それでも慎重を期して(というより、影バージョンの想定能力からすれば、Gスーツみたいなパワーは発揮できない)、壁内部を透視して見ると、軽量鉄骨の間柱が沢山入っていて、そう簡単に突き破る訳にはいかなそうだ
やむを得ず、連中が扉に達する前に扉を開けて、廊下に飛び出す作戦とする。それなら、外階段組が飛び込んで来ても、束の間視界から消えることになる
そうと決めたら素早く行動、とばかりにまず、さっき跳ね飛ばしたダガーナイフの男の腕を捻って、骨折させる。動けないのを確認して、素早くドアを引き開けて、廊下に飛び出す(ありえないくらい低い姿勢で!)

その少し前のこと、黒い影がものすごい速さで、部屋に居た皆を片付けていく様を見て、もっと強力な武器と援軍を求めるべく廊下に出たミゲルは、寝室から出て来た日本人ギャング二人に、武器庫に行こうと手振りで伝えることに成功した
日頃は、言葉も通じず、自分たちをあからさまに見下す態度の日本人どもとは、一線を画しているミゲルだったが、この時はありがたい援軍に思えた

自分が持っている武器庫の鍵を使って、扉を開けると日本人たちは我先に中に飛び込んでいって、銃器を物色し始める。何丁か手に取って結果、弾は沢山出るが命中率の悪いウジーを両手に持って、廊下に出て行く
ミゲルは、この連中は銃器の扱いに慣れていないと見て、援軍としての期待ランクを一段下げることにした。それどころか味方に銃弾をぶちまけるのではないかと危ぶんだが、緊急事態だから、と首を振り方をすくめる
自分もこうした荒事には慣れていないが、それでも命中率が高いとカルロが言っていたコルトガバメントを選んで、二人に続いて廊下に出た

そのときミゲルが見たものは、後に仲間に語ったように、廊下を滑って来た(スケートボードかと見えた)黒い影が、二人の日本ギャングの足元を払い、転倒したところを正拳突きで仕留めていく姿だった
軍隊経験のあるミゲルには、黒い影は匍匐前進のように腕を使って這って進んでいるようにも見えたが、それにしても、まるで腹部にローラーでもあるかのような、滑らかさで滑っているそのスピードに驚愕した
そして、さらに印象深かったのが、腹這いの姿勢を保ったまま、左右に立っている日本人の脚を払った技であり、流れるように転倒した二人の男にとどめを刺した突き技だった

その脅威が自分に迫ったとき、かろうじて構えたコルトが一瞬で弾き飛んで、低い体勢から素早く伸びあがった黒い影の頭部が、自分の顎に炸裂したところで、ミゲルの記憶は途切れてしまった
翌朝、やってきたP連合の仲間が、廊下で気絶していたミゲルと日本人二人を蘇生させるまで、自分が気絶させられていた間に、残ったメンバーが、階下で一人待機していたガルシアに至るまで、全員が戦闘力を奪われ、支部長のK松以下の幹部連も、重傷を負って動けないか或いは、失神させられていたことは、後で知ることになり、さらに数日後、A県警の捜査が入って、P連合のA県組織は壊滅した
posted by ミスターK at 23:00| Comment(0) | TrackBack(0) | SF小説
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